『玉の輿の日』という日があります。
一月二十日です。
明治三十七年、一組のカップルがこの日に結婚をしました。
男性はアメリカのモルガン財閥創始者の甥であるジョージ・モルガン。
女性は日本で芸妓をしていたお雪。
芸妓が結婚する際、男性が身請け金を負債や身代金として払わなくてはいけません。
富豪であるジョージはお雪の身請け金として、当時では破格の四万円も支払いました。
今の物価は当時の四千倍近くになりますので、換算すると一億円を軽く超えている額です。
そうしたことからもモルガン財閥の富豪であるジョージと芸妓のお雪の結婚は、センセーショナルに伝えられました。
日本の芸妓からアメリカの富豪の妻になるのですから、それは相当な玉の輿です。
そのことから、結婚した日を『玉の輿の日』としたのです。
四万円という大金に目がくらんで人生を売った、などと批判もされました。
しかし、ジョージは結婚後十年で若くして亡くなりますが、それまで二人は幸せに暮らしたそうです。
お雪はその後、恋をしたりと波乱万丈な日々を送りましたが、晩年はカトリック教徒として京都で静かに過ごしました。
お金の面だけが語られてしまいますが、お雪は愛に生きた人なのでしょう。
一月二十日にはお雪のことを思って、玉の輿の祈願をしてもいいかもしれません。