1990年代後半、ガーリーフォトという言葉が流行しました。
ガールの撮ったフォト、ですね。
イマドキ風に言えばカメ女、ってところでしょうか?
日常的な光景を女性の感受性で撮っただけのノンジャンル作品をガーリーフォトというカテゴリーに当てはめましたが、写真といえばそれまで構図がどうの、適正露出がああだ、など、まるで化学の実験室でもいるように口角泡を飛ばす男たちが息巻くなかで、自由気ままに撮る女性の写真がとても新鮮に見えたことから、この言葉が生まれたという経緯があります。
もっとも、世に出てきたガーリーフォトと呼ばれる女性たちの写真はけっして自由気ままではなく、それらしく意図的に見せた実力のある写真であることには言及があまりありません。
その意図的な写真実力はともかく、90年代後半、カメラ技術が進んでオートマチックで写真が撮れるようになったことは、確かにカメラのハードルが高かった女性がアーティスティックな写真を撮りたがる要因になったことは事実です。
男性がキャノンだ、ニコンだ、ライカだと騒いでいたのを尻目に、写真を日常的に撮ろうとした女性が持ったカメラは旧ソ連製のロモでした。
これがトイカメラのルーツ。
ロモのLC-Aというカメラに独特の味わいがあることから、そのパステル調とも言われる淡い仕上がりが女性の間で受け、カメラ専門誌などまったく読まない女性たちの間で見事に広まったのです。