理学療法士の仕事は、身体や精神に障害を持った方々が、日常生活をできるだけ円滑に行えるように、また、元の運動能力に出来る限り近づけるように訓練をしていく、という仕事です。
怪我や病気などによって、今までとは同じに動かない身体を抱え、不安でいっぱいな患者さんへのリハビリは、時に大きくつまづくこともあります。
動かないことへの不安、また痛みへの不安、このまま動かないのではないか・・という精神的な不安。
患者さんの心ははたで見ているよりも、本当に複雑だと思います。
頑張れ、ということは簡単です。
でも、実際に頑張っているのは、患者さんで、これ以上頑張れない・・というところまで頑張っているのです。
もし、それが一生懸命でないとしても、心は何かと戦い、頑張っています。
自分との戦い、痛みとの戦い・・・リハビリというのは、本当に負担の大きいものです。
ある程度年齢が若い場合、体力と根気もいずれ出て来るでしょう。
怪我や病気の度合いによっては、気持ちの持ちようで大きく変っていきます。
でも、ご高齢者はそうは行きません。
自分の気持ちは一生懸命になっても、ご高齢になって一度動かなくなった筋肉や骨は、並大抵な努力では動くことが難しいのです。
そこを頑張っているのですから、理学療法士として、リハビリを行うだけでなく、よりよい信頼関係を築いて、精神的にも支える必要があります。
看護師、作業療法士、看護助手、ケアマネージャー、医師、福祉や医療の関係者が沢山いますが、これらの人は、みな、精神的に非常に強い面を持っていると感じます。
理学療法士の資質、苦境に立たされている人が一生懸命になっている姿を見て、自分も精神的に強くなれること、また相手を思いやるやさしさを持っている人は、理学療法士の資質があるのではないか?と思います。