イタリアのベファーナ、ロシアのジェド・マロース、それからドイツのクネヒト・ループレヒト。
悪い子にはお仕置きをするという妖精、もちろん日本にもいます。
その代表的な存在が「なまはげ」。
重要無形民族文化財に指定されている秋田県の民族伝承で、「なぐごはいねがー!」は秋田県民でなくとも知っているでしょう。
出刃包丁(または蛇)を持ち、顔は鬼のように赤く、蓑を着たその姿はヨーロッパの妖精に劣らぬ形相です。
なまはげがやってくるのはクリスマスではなく大晦日。
日本ではヨーロッパのクリスマスのように大晦日は家族団らんで過ごす時なので、大晦日であってもまったく共通点がないわけではありません。
なまはげ、本来は来訪神です。
怠惰や不和といった悪事を戒め、災いを払いにやってくる、いわば荒神様ですね。
これがいつの間にか秋田県の年中行事になり、子どもたちへの恐怖体験的教育に変わりました。
「悪いことをするとなまはげが来るよ」と言えば子供は必ずビビりますから。
世界中を見渡すと、神的存在を恐怖に変えて子供に教育する手法は他にも各地にあります。先に上げたドイツにはクネヒト・ループレヒトよりもはるかに恐ろしいクランプスがいますし、ブラジルやポルトガルでは悪い子を袋の中に入れて連れ去る「袋の男」がいます。
それらの中で、もっとも怖いのがトントン・マクートでしょう。