ロシアもアメリカン・サンタクロースとはずいぶん異なっています。
白ひげは腰の当たりまで伸び、頭には王冠にも似た帽子を被り、ブルーの分厚いローブを着て手には白い杖。
こちらも魔法使いのような出で立ちです。
その名はジェド・マロース。
ジェドは爺さん、マロースは寒波や吹雪といった意味。
つまり吹雪爺さんですね。
名前だけ聞くと「太陽と北風」の寓話を思い出してほのぼのとしますが、じつはこの爺さん、とても残酷なのです。
ジェド・マロースは民族伝承に出てくる霜の妖精で、以下のようなエピソードが残されています。
ある家では継母に虐げられている娘がいました。
継母は連れ子を可愛がるあまり、娘を家から寒い冬の野に追い出してしまいます。
寒さで悲嘆する娘の前に現れたのがジェド・マロース。
娘に冷たい風を吹きかけ、「暖かいか?」と問いかけます。
これを何度か繰り返しても娘は「暖かい」と繰り返しました。
そこでジェド・マロースは娘に暖かい毛布や食料を与えて家に帰します。
継母、その娘を見て我が子もその幸運にあやかろうと娘を野に送り出しますが、現れて同じことを繰り返すジェド・マロースに対して連れ子は「寒い、寒い」と繰り返していたために凍死してしまうというお話。
…なんか、腑に落ちない寓話ですね。