自然の驚異を畏怖と捉え、良いこと悪いことすべてを神の仕業と受け止めるのが日本の神道の根本にある考え方ですね。
これを大和武尊命の伊吹山遠征に当てはめるとよく分かります。
たとえば大和武尊命の神具であった草薙剣は、元々、素盞鳴尊命(スサノオノミコト)が奥出雲でヤマタノオロチを退治した時、その尻尾から出てきた剣ですが、奥出雲は砂鉄の名産地で、古来、たたら製鉄の盛んなところです。
この奥出雲には斐伊川が流れており、大雨が降ると度々、氾濫を起こしていました。
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砂鉄を多く含んだ川の水は鉄を酸化させ、赤い錆にします。
つまり氾濫する川がヤマタノオロチ、流れる赤い水はまさに血の表現とされていたわけで、この川の氾濫を鎮める役目が素盞鳴尊命という神様だったわけです。
また伊吹山は良質な湧き水や植物が豊かなことで知られる標高1,377mの日本百名山に数えられる名山で、登山も盛んに行われていますが、冬期になると日本海側からの季節風が伊吹山麓を回廊、これが降雪や曇天を濃尾平野にもたらします。
これが伊吹おろしですね。
驚異となる自然ではありませんが、舐めてかかると大変なことになる、という訓戒を持つ山です。
伊吹山山頂には、この神話に基づき、大和武尊命の石像と本堂が建てられており、そこには伊吹山之神である白猪が祀られています。
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