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慢心が言葉の魂となって命を落とす大和武尊命

言挙げ(ことあげ)が日本の歴史上に登場するのは古事記。

日本最古の歴史書であると同時に壮大な神々の物語でもある記述書で、言挙げに関わったのは、かの有名な大和武尊命(ヤマトタケルノミコト)。

第12代天皇の第二子皇子で、古事記では東西の蛮族を打ち破り、日本各国に存在する荒ぶる神を退治する暴れん坊ですが、最後は近江の伊吹山で命を落とす事件に遭遇します。

伊吹山の神を退治に出かけた大和武尊命は途中で白い大きなイノシシと出会いますが(日本書紀では大蛇ですね)、このイノシシは伊吹山の神の化身、したがって今、殺さずに帰りに殺そう、と声を上げます。

つまりいつでも殺せる、という慢心ですね。

しかし、殺されなかった神の化身は大和武尊命に大氷雨を浴びせ、それが元で大和武尊命は衰弱、やがて命を落とすという末路。

これが日本の歴史で最初に登場する言挙げです。

大和武尊命は伊吹山の荒ぶる神を退治しようとする前、大和武尊命の神具ともいうべき草薙剣を妻の美夜受比売(ミヤズヒメ、日本書紀では宮簀媛と表記)に渡したまま征伐に出かけています。

これは必ず帰ってくるという証でもありましたが、荒ぶる神を退治するための神具を持たず、しかも出会った敵である荒ぶる神に対して慢心を見せたことが命を落とす結果につながりました。

その意思表示の言葉に慢心の魂があったため、これを言挙げの最初の訓戒として古事記や日本書紀に残されたのでしょう。

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