We Choose go to the moon.
1962年9月12日、時のアメリカ大統領、故・ジョン・F・ケネディ氏はライス・スタジアムで演説、8分40秒辺りで、我々は月へ行くという選択をした、と言いました。
続けて、60年代が終わるまでに月へ行く、と。
1950年代後半から1960年代前半、アメリカと当時のソビエト連邦は資本主義・自由主義陣営と共産主義・社会主義陣営の盟主として対立していた冷戦の真っ只中で、何事においても米ソは対立、なかでも宇宙開発は両国の科学力の結集と見られ、激化していました。
宇宙開発に関してはソ連がつねに一歩リードしており、1961年には有人飛行を行い、逆にアメリカはエクスプローラーという人工衛星をようやく打ち上げた最中という状況です。
宇宙開発、当面の目標はアメリカもソ連も月に行くこと。
しかしソ連の宇宙開発のリードはアメリカ国民のなかに、月がソ連の領土になってしまうのではないか、さらに宇宙ロケットを正確に飛ばす技術が大陸弾道弾ミサイル(ICBM)に生かされてアメリカ本土が攻撃されるのではないか、といった不安感を蔓延させました。
その空気を一変させたのが、We Choose go to the moon. なのです。
ケネディ大統領の演説はさらに、困難であるが故の選択だ、と続きます。
そう、アメリカ国民の好きなチャレンジャー精神の高揚ですね。
この演説によって、それまで蔓延していたソ連の宇宙開発リードという劣勢的気分が一掃され、アメリカ国民はケネディ大統領が提唱するアポロ計画を大々的に支援するようになったのです。
まさに、多くの人の心を揺さぶり、勇気づけ、気持ちをひとつにした力のある言葉の代表例といえるでしょう。