日本文化を継承する職人は伝統工芸に留まりません。
和食もまた、大切な日本文化のひとつです。
2013年には「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたほど世界中から注目されており、とくに先進国からは自然を生かした健康的な食事として支持されています。
だからといって和食の調理人を勧めるわけではありません。
寿司職人を含め、和食の調理人として一人前になるには伝統工芸の職人以上に大変な職人世界が待ち受けているので、よほど堅固な意思がない限り転職は難しいでしょう。
ここで紹介するのは調理人ではなく、日常的な食材の中にある日本文化の担い手です。
たとえば豆腐。
本来、日用に使われる工芸品と同じように豆腐屋も町や村には必ず1軒あり、昭和中期までは行商(リアカーで朝、豆腐を売りに来ること)が当たり前のように行われていました。
それがスーパーマーケットの展開とメーカーによる大量生産で、工芸品と同じく豆腐屋は衰退していきます。
しかし最近になって、やはり機械化によって作られた豆腐よりも手作り豆腐の方がコクがあって安心、しかもヘルシーという風潮が高まり、地元の豆腐店が見直されつつあります。
一時期、衰退しただけに後継者不足に悩む地元豆腐店も多く、需要があるだけに人材募集を行っている豆腐店も数多くあります。
伝統工芸より、ずっと転職しやすい職といえるでしょう。