伝統工芸の職人になるためには、精神面と物理面、両方の条件を整える必要があります。
とくに物理的な資金面は重要でしょう。
知名度の高い伝統工芸品の工房であれば経営状態も好調ですが、多くの伝統工芸品は労働条件が厳しい割に収入が少ないというのが現状です(だからこそクール・ジャパン政策が必要となったわけですが)。
需要が限られている伝統工芸品の工房で跡継ぎがいる場合、どうしても長く職人として続けるよりも技術を習得した段階で独立が求められます。
その際も工房を開くための資金が必要となるわけです。
ただし資金さえ整えば独立は歓迎すべきことでしょう。
このコラム当初で紹介したように、伝統工芸品の技術を生かしたモダンアートは今や花盛り。
実力とアイデア次第では注目度を一気に高めることができますが、やはり伝統工芸品の工房で職人として働いている限り、親方や先輩の気質によっては自由な製作が望めない場合もあります。
伝統工芸品に転職を考えるならば、最終的に独立を見据え、その資金をいかにして調達するかという点まで考えた方がいいでしょう。
そして独立後に求められる資質はなんといっても創造性です。
技術と創造性があれば、チャンスは無限に広がっていくでしょう。