三重県の地場産業振興センター、「じばさん三重」には伝統工芸品として出品されていませんが、三重には代々伝わる伊勢春慶がありました。
春慶とは漆塗りの木工品ですが、一般的な漆塗りと違って木地を立体的に仕上げる曲げの技法を多用し、木地の木目を生かして透明な漆を塗るのが特徴です。
飛騨春慶や能代春慶、茨城県の粟野春慶が有名で、その次に伊勢春慶が位置していました。
過去形で紹介しているのは第二次大戦時、職人が徴兵されたり材料確保が難しくなったりしたことで一時断絶、第二次大戦後に復活したものの、プラスチックや樹脂の台頭で再び断絶したからです。
この伊勢春慶、2004年になると「伊勢春慶の会」が発足して三度の復活を果たしました。
かつて伊勢春慶を作っていた職人が集まり、地元の有志たちが伊勢春慶の良さを後世に伝えることを目的とした会は今、若年層が技術の習得を目指して修行しているだけでなく、門戸を広げて定年退職者を対象として体験会を実施、塗師の育成に勤めています。
また古典的な伊勢春慶だけでなく、伝統を生かしつつ現代に即した商品の開発にも力を入れており、河崎にある伊勢崎商人館に伊勢春慶のアンテナショップを開店、カジュアルな伊勢春慶の販売も行っています。
伝統工芸品職人へ転職するなら狙い目の日本文化といえるでしょう。