東京板橋区に『縁切榎』があります。
これはその名の通り、榎の木です。
その榎が、縁切りに効力があると言われているのです。
板橋の交差点にひっそりとたたずむ、一本の榎。
その周りには小さな祠や、いわれを書いた立て板が建っていますが、気に留めなければ見落としてしまいそうです。
その榎が縁を切ると言われだしたのは、江戸時代にまでさかのぼります。
榎の横に槻(ケヤキの古名)が並んでいて『エンツキ』、縁の尽きとなるので、その榎が縁を切る、と言われるようになったのだとか。
嫁入りなどの際は、この榎の下を通ると縁が短くなってしまうとして、避けられました。
皇女が降嫁の際には、この榎を迂回する道をわざわざ作ったほどです。
それだけ縁切りの力が強いものだと思われていたのです。
縁を切るためには、この榎の樹皮を削ぎ取って煎じ、別れたい相手に密かに飲ませると縁が切れると言われていました。
多くの人が榎の皮を求め、縁切榎は落語にも登場するほど有名だったのです。
そのせいか、今の榎は三代目になります。
今では削がれないようにと、菰が巻かれて守られています。
男女の仲だけではなく、酒などの悪習や災害、難病などとも縁を切れるのだそうです。
近年では縁を切るだけではなく縁を結ぶご利益もあるとされ、知る人ぞ知るパワースポットとして人気があるのです。
縁切榎で悪縁を切り、良縁を結びましょう。