京都にある法雲寺。
この境内に菊野大明神があります。
ここには『菊野さん』と呼ばれる石が祀られています。
この石は縁切り石として有名で、法雲寺はそれほど大きなお寺ではないのですが、多くの人が訪れます。
小野小町に恋焦がれた深草少将という男性がいました。
小町に求愛したところ『百夜通ったら、その気持ちに応じてあげましょう』と言われました。
少将は連夜、小町の元に通いました。
しかし九十九日目、大雪の中、力尽きて倒れてしまいます。
こうして少将の思いは遂げられませんでした。
その少将が通っていた途中で腰かけていたのが、この石なのだそうです。
そのときの悔しい思いが石に宿り、縁切り石となったのです。
菊野大明神は、確かに雰囲気のあるスポットで、軽い気持ちでその地を訪れてはいけません。
祈願する方は皆、真剣な表情で、その思いが集まっているのでしょう。
『夫と浮気相手を別れさせてほしい』『ストーカーにつきまとわれているので、関係を絶ってほしい』など、切実な縁切り祈願が多くあります。
京都では婚礼行列も、この菊野大明神の近くは決して通りませんでした。
それだけ、縁切りの力が強かったのです。
改修されて少し綺麗にもなりましたが、それでも空気が重く、祈願する人の覚悟を見ているようです。
どうしても切りたい縁があるなら、菊野大明神を訪れてみましょう。