兵士の無事帰還を願った千人針

前述した「御所千度参り」でも分かるように、願掛けでは千という数字が願掛けの強さを表す単位によく使われます。

たとえば「千人針」。

第二次大戦中、出征する兵士たちの無事を祈って女性たちが白い布に赤い糸でひと針ずつ繍玉を作り、それを千個作って兵士に渡しました。

最初は千個という数、多いことの象徴でしたが次第に千個は必須となります。

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また1人の女性が千個の繍玉を作ってもよかったのがいつの間にかすべて別の女性でなければならない、など難易度が高くなり、千人針をお願いするために女性が街頭に立ち、道行く女性が針を通すという光景が当時、よく見られました。

その光景は戦時中、女性も頑張っているという風潮を表していましたが、同時に難易度を上げるのはどこかプロパガンダ的な匂いが漂っているのは否めません。

千人針には五銭硬貨や十銭効果を縫い付けた女性もいます。

これは死線(四銭)を越える、とか苦戦(九銭)を越えるといった願掛けですね。

しかし戦場では洗濯ができず不衛生で、肌身につけ続けているとシラミが卵を産んで繁殖の温床になることから貰っても嬉しくない兵士もいたとか。

できれば歴史の中の遺産に収まり、復活して欲しくない願掛けです。

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